歌川広重の猫はかわいい!グッズや代表作、国芳との違いを徹底解説

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歌川広重 猫

こんにちは。「アートの地図帳」を運営しているさとまるです。

浮世絵に描かれたと聞くと、多くの人が歌川広重や歌川国芳の名前を思い浮かべるのではないでしょうか。特に歌川広重の描く猫は、その愛らしい仕草や風景に溶け込む姿から、現代でも非常に高い人気を誇っています。

しかし、中には「広重の猫の絵ってどれだっけ?」「国芳の猫と何が違うの?」と疑問に思う方も多いはずです。

実は、お土産屋さんで見かけるかわいい猫のグッズも、実は広重のスケッチが元ネタだったりすることがよくあります。

この記事で分かること
  • 歌川広重が描いた猫の代表作である「浅草田甫酉の町詣」や「浮世画譜」の魅力
  • なぜ窓辺の白猫が外を見ているのかという絵画に隠された深い意味
  • よく混同される歌川国芳の「猫の東海道」との明確な違いや見分け方
  • 現代でも手に入るかわいい広重猫のおすすめグッズや美術館情報
目次

歌川広重の猫作品と代表作の魅力

風景画の巨匠として知られる歌川広重ですが、実は猫を描いた作品にも傑作が多く存在します。ここでは、広重が残した猫の絵の中でも特に有名で、現代人の心をも掴んで離さない代表作について、その魅力を深掘りしていきましょう。

代表作の浅草田甫酉の町詣を解説

歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」
画像出典:歌川広重「浅草田甫酉の町詣」(1857年、「名所江戸百景」シリーズより)。出典:Wikimedia Commons

歌川広重の猫作品の中で、最も芸術的評価が高く、かつ多くのファンに愛されているのが『名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣(あさくさたんぼとりのまちもうで)』です。この作品は広重の最晩年、安政4年(1857年)に制作されたもので、まさに彼の集大成とも言えるシリーズの一枚です。

画面の手前には、畳の上に行儀よく座る一匹の白い猫が描かれています。この猫は窓の格子越しに、外に広がる浅草の風景と、遠くに浮かぶ富士山のシルエットを眺めています。空には美しい夕焼け(あるいは明け方)のグラデーションがかかり、渡り鳥である雁(かり)の群れが飛んでいく様子が描かれており、非常に叙情的な雰囲気が漂っています。

この絵のすごいところは、初摺(しょずり)などの良い保存状態のものを見ると、猫の毛並みを表現するために「きめ出し」という技法が使われている点です。これは版木を凹状に彫って紙を押し込み、立体感を出すエンボス加工のようなもので、広重がいかにこの猫の質感にこだわっていたかが分かります。

窓辺に描かれた白猫の意味

『浅草田甫酉の町詣』は、単にかわいい猫を描いた風景画ではありません。実はこの絵には、描かれていない部分(オフ)にこそ深い物語が隠されているんです。

「手ぬぐい」「茶碗」「かんざし」が無造作に置かれている

この部屋は吉原遊郭の妓楼(遊女屋)の二階だと考えられています。部屋の中には猫の他に、手ぬぐいや茶碗、そして「熊手」を模した簪(かんざし)が無造作に置かれていますが、人の姿はありません。しかし、これらの小道具は、つい先ほどまで、あるいは屏風の奥に客と遊女がいることを濃厚に示唆しています。

深読みポイント:猫は誰の身代わり?

窓辺に描かれた白猫

窓の外を見つめる猫は、部屋の中に閉じ込められた遊女の心情を代弁していると言われています。格子窓は遊女にとっての「檻」であり、空を自由に飛ぶ雁の群れは「自由への憧れ」を象徴しています。つまり、猫は遊女の代わりに外の世界を見つめる、切ない存在として描かれているのです。

「格子窓」と「雁の群れ」

畳に置かれた熊手のかんざしも重要です。熊手は酉の市の縁起物で「客をかき込む」商売繁盛の意味がありますが、ここでは特定の客からの贈り物である可能性が高く、遊女と客の間の情愛を感じさせる小道具として機能しています。このように、広重の猫は単なるペットではなく、物語を語る重要な役者なんですね。

浮世画譜のかわいいスケッチ猫

一方で、もっと気楽に楽しめるのが『浮世画譜(うきよがふ)』に見られる猫のスケッチです。これは広重が描いた絵手本(スケッチ集)で、特に3編にある「猫のページ(猫之図)」は、現代の猫好きが見ても悶絶するほどのかわいさです。

ここには、顔を洗う猫、丸まって寝る猫、じゃれ合う猫など、24匹もの猫たちが描かれています。擬人化などは一切されておらず、あくまで「猫そのもの」の日常の仕草が、シンプルかつ的確な線で捉えられています。このデザイン性の高さは現代でも通用するもので、よくTシャツや手ぬぐいの柄として使われているのは、だいたいこの『浮世画譜』の猫たちです。

浮世絵に見る江戸時代の猫文化

広重がこれらの作品を描いた江戸時代後期、猫は人々の暮らしに完全に溶け込んでいました。江戸初期にはネズミ除けの貴重な益獣として繋いで飼われていましたが、時代が進むにつれて町中を自由に歩き回るようになり、現代と同じような「愛玩動物」としての地位を確立していました。

浮世絵に描かれる猫をよく見ると、多くの猫が赤い首輪などをつけています。これは彼らが野良猫ではなく、誰かの飼い猫(家猫)として大切にされていた証拠です。また、猫には魔除けの力があるとも信じられており、単にかわいいだけでなく、家の守り神のような存在でもありました。

歌川広重の描く猫の特徴

広重の描く猫を一言で表すなら、「静と叙情」でしょうか。彼は風景画の大家らしく、猫をあくまで風景の一部、あるいは生活空間を構成する「点景」として捉える傾向があります。

決して猫を人間のように立たせたり、喋らせたりはしません。猫本来のしなやかな体のラインや、丸まったときの柔らかな質感を、冷静な観察眼で写実的に描きます。それでいて、『浅草田甫酉の町詣』のように見る者の想像力をかき立てる文学的な要素を含ませるのが、広重ならではのスタイルだと言えるでしょう。

歌川広重の猫と国芳作品の違い

さて、ここでよくある疑問について解説します。「猫の浮世絵」で検索すると、必ずと言っていいほど歌川国芳(うたがわくによし)の名前が出てきます。そして、多くの人がこの二人を混同してしまっています。ここからは、広重と国芳、二人の巨匠の猫の違いをはっきりさせていきましょう。

歌川国芳の描く猫との違い

まず結論から言うと、歌川国芳は無類の猫好きであり、歌川広重は冷静な観察者という違いがあります。

国芳は懐に子猫を入れて絵を描き、猫の仏壇まで作っていたという逸話が残るほどの猫好きでした。そのため、彼の描く猫は感情豊かで、擬人化されたり、役者の顔をしていたり、妖怪になったりと、エンターテインメント性に富んでいます。

ざっくり見分けるコツ

  • 人間っぽい動きやユーモアがある → 歌川国芳の可能性大
  • 風景に溶け込んでいて静か・リアル → 歌川広重の可能性大

東海道五十三次の猫はパロディ

画像出典:歌川国芳「其のまま地口 猫飼好五十三疋」(1850年、所蔵先不詳)。出典:Wikimedia Commons

最も誤解が多いのが、広重の「東海道五十三次」「猫がいっぱい描かれた東海道五十三次」の関係です。インターネットで「広重 猫 東海道」と検索する方も多いですが、猫がたくさん描かれている方は、実は広重の作品ではありません。

あれは歌川国芳が描いた『其のまま地口 猫飼好五十三疋(そのままじぐち みょうかいこうごじゅうさんびき)』という作品です。これは広重の大ヒット作『東海道五十三次』を元ネタにしたパロディ(見立絵)なんです。

タイトルの「猫飼好(みょうかいこう)」は「東海道」の語呂合わせ。そして描かれている猫たちも、宿場町の名前をもじったダジャレ(地口)になっています。

宿場名(広重の元ネタ)国芳の地口(読み)描かれている猫の様子
日本橋(Nihonbashi)二本だし(Nihon-dashi)鰹節(出汁)を2本盗み食いする猫
品川(Shinagawa)白顔(Shiro-kao)顔が白い猫
沼津(Numazu)なまず(Namazu)ナマズと遊んでいる猫
大磯(Oiso)重いぞ(Omoi-zo)重たい獲物を引きずっている猫

このように、国芳作品は広重へのリスペクトを含んだギャグ作品なのです。広重が真面目に描いた風景を、国芳が猫で笑いに変えた、と覚えると分かりやすいですね。

擬人化と写実の比較ポイント

広重も『猫の鰹節渡』のようなユーモラスな作品を残してはいますが、基本的には写実路線です。一方で国芳は、猫に手ぬぐいを被らせて踊らせたり、猫の体で文字を作ったり(猫文字)と、アイデアと遊び心が爆発しています。

「猫の鰹節渡」は福岡市博物館のサイトでご覧ください

デザインの素材として探す場合、「シンプルでおしゃれな猫」なら広重、「ポップで面白い猫」なら国芳を選ぶのがおすすめです。どちらも江戸の猫ブームが生んだ素晴らしいアートであることに変わりはありません。

おすすめのグッズと美術館情報

最後に、広重の猫作品を実際に楽しんだり、グッズとして手に入れたりする方法をご紹介します。現代でも広重の猫はデザインとして非常に優秀で、多くのグッズが販売されています。

特に人気なのが『浮世画譜』のスケッチ猫を使ったTシャツや手ぬぐいです。「Karaku Buy」などのアパレルブランドや、和雑貨のお店でよく見かけます。抜け感のあるデザインなので、普段使いしやすいのが特徴です。

広重の猫に会える場所・買える場所

  • 太田記念美術館(東京・原宿):浮世絵専門の美術館で、猫をテーマにした展覧会(「江戸にゃんこ」など)を頻繁に開催しています。ミュージアムショップの手ぬぐいは必見です。
  • 東京国立博物館(東京・上野):『浅草田甫酉の町詣』などを所蔵しています。展示スケジュールは公式サイトで確認が必要ですが、ショップにはポストカードなどの関連グッズが充実しています。
  • 芸艸堂(うんそうどう):日本唯一の手摺木版和装本出版社です。『浮世画譜』の版木を持っており、そこから作られた一筆箋やマスキングテープは、非常に質が高くおすすめです。

注意:展覧会の展示内容は期間によって変わります。目当ての作品が展示されているかどうか、必ず事前に美術館の公式サイトで確認してから出かけましょう。

歌川広重の猫を知るためのまとめ

歌川広重の猫作品について、代表作から国芳との違いまで解説してきました。風景画のイメージが強い広重ですが、猫を描いた作品に見られる「静かなかわいさ」や「物語性」は、現代の私たちにも通じる普遍的な魅力を持っています。

『浅草田甫酉の町詣』の窓辺の白猫に思いを馳せるもよし、『浮世画譜』のゆるいスケッチに癒やされるもよし。ぜひ、美術館やグッズを通して、広重が愛した猫たちの姿を楽しんでみてください。

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